東京でのオーレ・エクセル展が5/30からはじまりました。今回は会場がちょっぴり広いため、物量も多く、充実した内容になったと思います。とにかくオーレさんの言いたかったこと、やりたかったことを辿っていって、それを伝えられるようにと構成していきました。
はじまりは展覧会テーマから。「デザインって何?」という意味のタイトルです。
この3枚のタペストリーは、オーレさんの著書「Design=Ekonomi」の冒頭に出てくるプロローグを大きくプリントしたものです。1964年、ストックホルムに初めて本格的にデザインを施された建物が完成しました。この著書の冒頭にこの建物のイラストを描き、ページを追うごとに建物周辺の”デザインされたもの”にズームアップしていきます。そこに数行の文章を添え、「スウェーデンの今のデザインはこれが最高なのか?それとももっと良くなっていくのか?あなたは無関心?」そんなメッセージを読者に投げかけています。
オーレさんは地元の新聞にコラムを持ち、17年もデザイン理論を書き続けていました。その一部も展示しています。「Design=Ekonomi」はそれをまとめて作った著書なのです。
「Design=Ekonomi」には、IBM社のコーポレートデザイン例が大きく取り上げられています。オーレさんがアメリカに留学した際、巨匠ポール・ランドがやったIBMのトータルデザインに大きく影響を受けたのだそう。アメリカ留学をターニングポイントとして、オーレさんのデザイン理論が出来上がっていきます。
そのデザイン理論をもとに世に送り出された実績が、お菓子メーカーMazetti社のデザイン。実際、オーレさんがデザインにかかわってからこの会社のシェアはかなり上がったのだそうで、オーレさんの理論が実証されたことになります。
どどーん!一番人気はこのチョコレート詰め合わせ。オーレさんも特に思い入れがあった作品のようです。オーレさんは理論的でありながらも、実際のデザインは物語を見ているかのようにわくわくさせられるものばかり。理論と遊び心のバランスが取れている人だったことが伺われます。
社用の書類や名刺のデザインまで、オーレさんがやりました。
他に、企業のロゴマークのデザイン、絵本やブックデザインなども展示してあります。
「どのパッケージが目立つ?」と題してこのような展示コーナーを作りました。オーレさんの時代に当たり前にあったパッケージの中にオーレさんのチョコレートを入れると、とても惹き立ちます。シンプルで、商品のアピールポイントが何なのか分かりやすく、それでいて親しみやすい。そしてその中に一緒に入れているのが、今のスウェーデンデザインのArlaとYoggi。今のスウェーデンのかわいいかわいいパッケージデザインは、オーレさんの考え方の流れを汲んでいるのが分かります。
シンプルで明確なメッセージをそのままデザインすれば人に伝わるし、人を幸せにする力を発揮する(経済に結びつくというのはそういうことですものね、でも行き過ぎはダメです…)。私たちの周りにあるデザインはどうなのでしょう?自分たちの作るデザインは…?改めてそんなことを考えさせられます。
コレックス・ギャラリー・スピークフォーにて
5/30(土)〜6/15(日)(月曜定休)